ユニット付近に髪の毛1本落ちていたとします。

あなたはそれをきちんと拾い、ゴミ箱に捨てますか?

衛生士専用の自分だけのチェアであればほとんどの人が「拾って、捨てる」と言うでしょう。

しかし、たくさんのユニットがあって、たくさんのスタッフがいたときも同じ行動ができるでしょうか。

例えば今、自分は忙しいとします。

サブカルテも書かなきゃいけないし、器具も片さなきゃいけない。さらに次の患者さんも待たせている。

多くのスタッフが行き来をしているにもかかわらず、それを踏みつけながら素通り。そもそも髪の毛やホコリが落ちていることにも気づいていない人もいる。

そんなときでも「拾って、捨てる」という行為を、できていますか?実際のところ、見て見ぬ振りしちゃうこともきっとありますよね。

こういった行動は、スタッフが多くなればなるほど起こってしまうのです。

キティ・ジェノヴィーゼ事件

この事件を知っているでしょうか。

1964年にニューヨークの高層マンションに囲まれた住宅地で起こった女性殺人事件です。

この事件の女性は、暴漢に襲われていたときに30分以上も大声で助けを求めました。しかし、付近の住人はその叫び声に気づいていたにもかかわらず、誰一人として警察に通報しませんでした。最後まで助けに来ることはなく、女性はナイフで刺されて死亡。

この残酷な事件は大きな話題となり、マスコミは「都会人の冷たさ」を報道しました。

傍観者効果

心理学者のダーリーとラタネは、誰も助けようとしなかったのは「都会人の冷たさ」ではなく、目撃者が多数いたことによって生じたのではないかと考えました。

傍観者効果は次のような理由で生じると言われています。

・責任の分散
・集団による抑制
・評価の懸念

周りに多くの人がいると「誰かがやるだろう」と考え、責任が分散されます。しかし、全員が同じように考えるため、結局は誰も行動しないことになります。

また、他のスタッフがなにもしないのに自分だけ行動を起こすのは恥ずかしいし、面倒くさい。

しかも、その行動が「周りから”細かい”と思われたらどうしよう…」「”いい子ちゃん”を気取っているように思われるかもしれない…」といった雑念が働き、行動が抑えられてしまうのです。

他人任せは卒業しよう

みんなが素通りしてしまったら一体どうなってしまうでしょうか。

ホコリまみれの医院で、患者さんは「診てもらいたい」と思わないですよね。

一方で、全員が細かいところまで気を配れている医院はいかがでしょうか。

隅々まで気を配れている院内だったら安心して身を預けることができますよね。きれいが保たれていると、働いていても気持ちがいいです。

患者さんのために、そして、他のスタッフのために動く。お互いがお互いのことを思いやって働けたら素晴らしい団結力で活気溢れる医院になります。

一度、周りの些細なことに目を向けてみてください。

大きい仕事を一発ドカンとこなすのも素晴らしいことです。しかし、誰も気づくことのない小さな仕事をコツコツと地道に続けていくことも案外大変。

どんなに小さいことでもいいのです。そんな行動をちゃんと見ていてくれる人もいます。そしてそんな様子を真似してくれる後輩も出てくることでしょう。

まずは一番乗りで自分から行動を起こし、それを継続しつづけることから始めてみてはいかがでしょうか。