「新しい仕事をなかなか覚えられない」
「後輩に何度指導しても同じミスをする」

仕事をしているとよくありますよね。
頑張っているにも関わらず、報われない…と悩んでいる歯科衛生士さんは多いです。

私たちは学んだことを「記憶」してはじめて仕事に役立たせることができます。

仕事をうまくこなすのは「記憶の定着」

記憶は3つの過程を経て定着します。

①覚えること
②覚えたことをキープすること
③思い出すこと

覚えただけではすぐに忘れてしまうのでそれを維持させる必要があります。そして最後に”思い出す”ことをして頭に定着するのです。

記憶を保管しておく倉庫は3パターンあります。

  • 感覚記憶の倉庫
  • 短期記憶の倉庫
  • 長期記憶の倉庫

感覚記憶は感覚器官で瞬間的に得た情報のことです。

これが意識されたときに短期記憶になります。短期記憶は比較的短い記憶のことをさします。何度も反復しないと自然消滅して忘れ去られてしまうのです。

本当に覚えたいことは7つに絞る

心理学者のミラーは数字を1回見たり聞いたりしただけで短期記憶できる範囲は5~9までとしています。

もし覚えたいことがあるならば、この数を意識してみましょう。

後輩を指導するときにも使えます。ついつい一度にたくさんの情報を与えてしまいがちですが、多すぎても覚えられません。本当に覚えてもらいたいことは7つに絞って提示してみてください。覚えられたときに次のステップへ進めばよいのです。

何度も反復しよう

また、7つのことを覚えたときには、質問やクイズにして自分自身に投げかけてみましょう。

何度も反復することで記憶は定着します。そして思い出す行為をすることでより頭に残るのです。

そういった過程を経て、長期記憶になります。長期記憶は知識として定着しているので、ここまで来てはじめて、仕事にいかすことができますよ。

長期記憶は「運動的記憶」と「エピソード記憶」と「意味記憶」に分けられます。

身体を使って覚える「運動的記憶」

運動的記憶とはからだを使って覚えたこと。

アルジネートを練ったりセメント練ったりなど、一見簡単そうに見えますが実はテクニックがいりますよね。これも運動してからだに染みつかせて覚えたことです。

「スパチュラの角度は○度にしてラバーカップのラインに沿わせて…」と言葉だけで伝えて出来る人は少ないでしょう。

アルジネートは少しふわっとさせてからすり切ること、水の表面張力の微妙な差でゆるさが変わってしまうことなどなど…。口頭で伝えられるよりも実際にやって、からだで覚えた方が早いですよね。

実践できることならどんどん練習していきましょう。それが早く覚えて身につくコツです。

感情ベースの「エピソード記憶」

エピソード記憶とは起こった出来事の記憶で、時間や場所、そのときの感情が含まれます。

EXTの鉗子など、初めのうちは似たり寄ったりのものばかりで覚えられなかったと思います。ちゃんと覚えていなくてなんとなくで出してしまったとき、院長先生から怒られませんでしたか?

怒られるのは辛いですが、そうした後はすんなり器具の違いを覚えられたことと思います。「怒られた」などインパクトの強いエピソードがあると記憶に残りやすいのです。エピソード記憶はたった1回経験しただけでそれを記憶する特徴があります。

覚えたいときはストーリーを作って、思い出しやすいようにしてみてくださいね。

繰り返し学習が必要な「意味記憶」

意味記憶はいわゆる一般的な知識や情報のことをさします。こちらは先ほど紹介したように繰り返しの学習が必要です。

長期記憶庫に入った記憶はなかなか忘れません。そしてここに入って初めて仕事に役立たせることができます。長期記憶庫に入るような工夫を心掛けてみてください。

人間の記憶の仕組みを知ることで現状の改善策も見出せたのではないでしょうか。工夫次第で人間の記憶は上手く利用でき、それによって効率よく仕事を進められます。こういった知識を落とし込んで、自分のものにしてみましょう。