歯科医師、歯科衛生士ともにマイクロスコープを使い、ハイクオリティな技術を提供している高田歯科・高田光彦先生、歯科衛生士・高橋規子さん。

チーム医療に注力を注いでおり、それぞれ各地で講演会をするなどご活躍されています。

今回は歯科医院におけるチーム医療や歯科衛生士に必要な力は何なのかを語っていただきました。

高田光彦(たかた みつひこ)岡山大学歯学部卒業、神戸市三宮の高田歯科院長。日本顕微鏡歯科学会 指導医、日本口腔インプラント学会 代議員、歯科臨床研鑽会 会長、他。

高橋規子(たかはし のりこ)兵庫歯科学院専門学校卒業後、ササキ株式会社 関西営業ブロック入社。その後、NDL株式会社 公認インストラクターを経てフリーランス歯科衛生士として高田歯科に勤務。日本歯周病学会 認定歯科衛生士、日本顕微鏡学会 認定歯科衛生士。

高橋さん:実は、最初に就職した医院は3ヶ月ぐらいで辞めてるんです。当時は臨床に楽しさを見出せませんでした。

ーーその後はどうされたのですか。

高橋さん:ものを売る仕事に楽しさを感じていたのと、会社という組織のシステムが好きだったので歯科系企業に就職し、ディーラーの営業をしていました。

臨床から離れ、仕事も楽しんでいたのですが、商品紹介などで人前で話していると「臨床に戻らないの?」と先生方から声をかけてもらうことが多くなりました。

当時、臨床に未練はまったくなかったんです。でも、そのぐらいの時期に長谷ますみさんの症例を見る機会があって、「歯周治療をしたらこんなふうによくなっていくんだ。」と感動していました。

あるとき突然、長谷さんから電話がかかってきて「私が教えるから戻ってきてみない?」と言っていただき、また臨床に戻る決意をしました。

ーーそこから新たな衛生士人生が再スタートしたのですね。

高橋さん:長谷さんが月に1回指導していた医院があったので、はじめはそこで働きました。キュレットの操作を一通り身につけてから試験を受けてミントセミナーのインストラクターになったんです。それと同時にフリーの衛生士になり、いくつかの医院で働きました。

でも、思うような結果にならず、だんだん悩むケースも増えていきました。歯肉の中は直視することができないので想像力を膨らますしかないじゃないですか。先輩に「これは破折だね。こっちはセメント質剥離だよ。」と言われても、それが実際にどうなっているのかわからなかったんです。

抜去歯牙で見るんじゃなくて、その患者さんの歯肉の中を直接見てみたいと思うようになりました。自分のイメージした通りなのか、それとも違うのか。そこからマイクロスコープに興味を持つようになりましたね。

高田光彦先生との出会い

高橋さん:高田先生との出会いは、別の医院に見学行ったときに紹介してもらったのがきっかけでした。でも、ディーラー時代に「あそこの医院は先生がややこしいから間違って訪問したらだめだよ」と言われていたんです(笑)。

はじめは見学だけで、その後は症例を見せて相談に乗ってもらう関係が続きました。先生からアドバイスをいただいて「こういった所見があればトラブルは起こらないんだ」と腑に落ちることも多くて。そんななか、2年ぐらいした頃に先生のところで欠員がでたんです。

高田院長:そのときに「非常勤で、時給は○○円以上で、雇っていただけませんか?」って言ってきたんだよね(笑)。

高橋さん:先生の治療に対する考え方を知って、素晴らしいと思っていたんです。先生がした補綴物を私が守っていきたいって思ったのでお願いしました。

高田院長:僕は、衛生士をあまり必要としていなかったんです。当時のリピート率も5%ぐらいで、治療終わったら「はい、おしまい。何かあったらまた来てね」と。

ーーどこから必要性を感じるようになったのですか。

高田院長:高橋さんやその前に務めていた衛生士さんなど、仕事にプライドを持って、積極的に学びたい人が来たのがきっかけ。聞いてきてくれるから話し合うことも増えて、よく情報交換するようになりました。

マイクロスコープを使ってたので、映像が目の前のモニターに映し出されるのもよかったんだと思う。自分から見て学んで動いてくれるようになりました。僕が患者さんに説明している様子や治療している様子を、歯科助手や受付の子も聞きにきてくれます。

高橋さん:マイクロスコープがあるとスタッフの教育にもなりますし、患者さんの教育にも使えます。マイクロスコープは自分が見たいときというよりも、見せて共有したいときに使うことが多いです。

高田院長:僕が嘘をつけない人間なので、今日やった治療は誤魔化したりせずに全部患者さんに見せて説明します。陰口とか悪口とかも嫌いなんですよ。思うことがあるなら本人に直接伝えます。

高橋さん:治療に対する先生の熱意とか考え方が私は好きなんですよね。

ーーどうしたらそんな職場に出会えると思いますか。

高田院長:合わない人はすぐ辞めるからね。やっぱり自分に合うところを見つけたほうがいいと思いますよ。

辞める決断をするなら1週間

高田院長:僕自身は無理ならさっさと辞めたほうがいいと思う。ズルズルいくより1週間ぐらいで決めたほうが雇う側も雇われる側もいいよね。うちの場合は最初の1ヶ月は突然来なくなってもOKだし、明日から来ないでってこちら側からお願いしても文句なしねって先に言っています。

衛生士さんの離職率が高いのも割と無理して続けてるからだと思う。続けてる理由はおそらく条件がいいからだと思うんだけど、辛かったら続かないよね。

ーー自分に合った医院を見つけるのが秘訣なんですね。

高田院長:あと束縛される時間が異様に長くて、給料の上限も見えてくるってところもあると思います。そうなるとやっぱりしんどいんでしょうね。

例えば物価の高いスイスの新卒歯科衛生士の初任給は年収800万から。ドイツの場合は大体30代半ば〜40代ぐらいでフリーランスになると時給6000円から。日本で実現できてる歯科医院はほとんどないですよね。それを実現しようと思ったら1時間2万円ぐらいで衛生士業務をやらなきゃいけない。

保険で1時間2000点稼ごうと思ったらスケーリングを朝から晩までやって馬車馬のように働かなきゃいけないんですよ。お弁当食べる時間もなかったりして、限界がありますよね。

給料のこと文句を言う衛生士さんもいますが、金銭的な感覚をわからないまま給料のことを言ったってだめ。いくら稼げば自分の利益になるかわかってるだけでも違うと思う。

時給上げたいならそれなりに稼げる力と、コンサル力も鍛えなきゃいけないです。それを受け入れてくれる患者さんを持ってないといけないので。

美容師さんと一緒。人気のある美容師さんは美容院を辞めたとしてもお客さんが美容師さんについていきますよね。ファンをたくさん作ることって大事。また、980円の散髪屋さんもあれば、2、3万円する美容院もある。自分はどんなサービスを提供していきたいのか考えていく必要がある。

処置以外の付加価値を

高田院長:美容師で人気がある人は、髪切るのが上手いとかそれだけじゃないと思う。とびきり下手な人だったら困るけども、実際そんな大差ない。

衛生士さんでも自費でスケーリングしたって、保険でしたって、その差は小さいですよね。でも、なんで自費でできる人もいるのかっていうと処置以外の付加価値があるから。

「車を買い替えたのよ」とかくだらない話をしてるだけでもいいから、患者さんが喜んで会いに来てくれるかどうかですよ。口だけでは困るんだけど、そのわずか5分だけでもちょっと診てもらってホッと安心できることが大事。

ーー医院や院長先生が歯科衛生士に求めることは何ですか。

高田院長:コミュニケーション能力。患者さんともそうだし、スタッフともそうだし、とにかく笑ってお話ができること。やっぱり相手の気持ちとか情報を汲み取ってもらいたい

僕は、高橋さんが患者さんと会話してるのを治療しながらなんとなく横で聞いていて、ちょっと顔を出したほうがいいかなと思ったら行くようにしてる。

高橋さん:お互いにアンテナ張ってますよね。

高田院長:それはきっと必要なことですよね。美容院でもそうでしょ。髪切ったあとにシャンプーするけど、アシスタントの人がタイミングよく現れます。阿吽の呼吸ですよね。

高橋さん:あともうひとつ衛生士さんに必要なのは適応力だと思います。衛生士って自分で開業できないので、すでに存在している医院に自分が入っていくじゃないですか。だから「あれも嫌、これも嫌」ではいけないですよね。ここだけはどうしても譲れないというのはあってもいいですが、それ以外は医院に合わせていくのがいいと思います。

高田院長:そして、衛生士として以前に大事なのは、道徳心を身につけること。やる気を出す前に、挨拶とかアイコンタクトとか相手に不快な思いをさせないとか、人として当たり前のことができてるか。相手を人としてではなく、ものとして見るのはいけないよね。

衛生士はDH業務ができればいいってわけじゃない。道徳心を身につけて、まずは人として立派になりなさい。

編集後記

意識が高く、プロフェッショナルな高田歯科のみなさん。

処置も、機材も、説明も、すべてにおいて「こだわり」が感じられました。

表裏なく、風通しのよい空間が魅力的な歯科医院さんです。

高田光彦先生、高橋規子さん、ありがとうございました。

歯科衛生士・本吉ひとみ